翻訳家によるコラム 「RoyaltyとLoyaltyについて」

高橋翻訳事務所

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2018/07/26
RoyaltyとLoyaltyについて

こんにちは。(株)高橋翻訳事務所の高橋です。

外来語からのカタカナ言葉を訳語として使う場合、その時代によって表記も移り変わるということがあります。複数の表記が出回っている場合、その時点ではどの表記を選ぶと妥当であろうかということを考えます。

たとえば、誰かの権利を使用する際の使用料としてのRoyaltyは、昔は「ロイヤリティ」と表記されることが非常に多かったのですが、英語としての発音からすると、「リ」ではなく「ル」の方が正しいという説から、「ロイヤルティ」という表記も増えてきました。ところが近年、マーケティング用語としてのLoyaltyも使われるようになりました。意味としては「忠誠度」で、たとえば、「消費者が自社ブランドの商品を続けて買ってくれている」というような場合、「ブランドロイヤルティ(brand loyalty)が高い」という使い方になります。あるチェーン店を普段利用していて、別のところでそのチェーン店を見つけると、迷わずそこに入ってしまうというような場合も、「その商標への忠誠心が高い」=「ブランドロイヤルティが高い」ということになります。

そこで、翻訳する場合の使い分けですが、現在のところ、権利使用料のRoyaltyは、古くから使われている表記の「ロイヤリティ」を使い、ブランドロイヤルティというときのLoyaltyは、「ロイヤルティ」としています。
権利使用料のRoyaltyをロイヤリティと使う場合は既に昔から定着しているカタカナであるため、そのままでよいのですが、忠誠心・忠誠度としてのLoyaltyを「ロイヤルティ」と使う場合、たとえばPowerPointで作成されたプレゼンテーション用の資料を英訳するようなとき、その意味でのロイヤルティを初めて聞く人もあり得るため、初出部分だけは「ロイヤルティ(忠誠度)」のように併記をすることも多いです。原稿によってケースバイケースで処理方法を変えていきます。


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