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オストメイト
医学翻訳、薬事申請翻訳、看護翻訳、介護翻訳、医療翻訳担当のY.O.です。
先日、久々に新幹線を利用したところ、最新の設備がある車体だったようで、オストメイトに対応した多目的トイレが設置されていました。英語では「Multi-Purpose Room」と書かれており、人の上半身の右下に白抜きの十字が入った、オストメイト対応であることを示すマークもついていました。
「オストメイト(Ostomate)」とは、事故や手術などにより、「ストーマ(stoma)」(人工肛門、人工膀胱)を腹部に造設された方のことです。
外見上はそれとわからず、自身がオストメイトであることを他人に知られたくないという方も多いため、日本での認知度はまだ低いようですが、公益社団法人日本オストミー協会(Japan Ostomy Association, Inc.)のウェブサイトによりますと、国内のオストメイトの数は18万人を超えるとみられているそうです。
あまり縁のないもののようにも感じられますが、がんなどによる永久造設だけでなく、盲腸などの身近な疾患でも、状況によって腸の一部を切除する必要が生じた場合、一時的に人工肛門を使用して生活を行うことを余儀なくされる場合もあります。
オストメイトが社会生活を行う中で、パウチや腹部を洗浄するための特別な設備があるオストメイト対応のトイレは不可欠です。最近では、パーキングエリアのトイレなどにも設置されているのを見かけますが、公共交通機関への普及はまだ途上にあるようです。
また、せっかくオストメイト対応のトイレが設置されていても、一般の利用者がそれを認知しておらず、オストメイト専用の洗浄設備で手を洗ってしまうケースもあり、社会全体の認知度を高めていく必要性もあります。外国からの観光客の利用が多い公共の交通機関や場所では、日本語だけでなく外国語に翻訳された説明の掲示も必要になるでしょう。
治療技術が高度化している今日、さまざまなニーズを抱えて社会生活をする方が増えています。ペースメーカ(pacemaker)への電磁波障害に対する認知度は高まっているものの、優先席に座りながら携帯電話の操作をしている姿なども時折見かけます。実際の電磁波による誤作動だけではなく、電磁波を出す機器が近くで使用されることに対する心理的な不安から息苦しさを覚える方もいるようで、配慮が必要です。また、視覚障害のある方用の点字ブロックの上に駐輪されている自転車も多く見かけます。もし自身や家族がこのような設備を必要とする立場だったら・・・という視点を心がけたいものです。