現在、医療分野において、医師や看護師などの医療従事者不足が大きな問題の一つです。
特に救急医療(emergency medical service)や産婦人科(obstetrics and gynecology)の分野で早急な対応が求められており、実際に自身や家族が医療を必要とした際に、それを改めて実感したという方も多いのではないでしょうか。
また、地域間で提供される医療の質(quality of medical care)に大きな格差があることも問題点の一つです。
このような問題を解決するため、国、自治体、医療団体もさまざまな取り組みを行っていますが、単に人数を投入することですぐに解決できるものではありません。多岐にわたる知識や技能を習得し、実習を経て現場に出て、厳しい労働環境の中で日々の業務をこなしながら、進展し続ける高度医療に対応するため、常に新しい技術を学び続けることが求められます。
治療や投薬などの医療的なケアだけではなく、患者さんやその家族の置かれた状況やニーズに応じた心のケア(psychological care)の重要性に関する認識も高まっています。たとえば、「看護学(nursing science)」には、看護の対象者によって、「成人看護学」、「老年看護学」、「小児看護学」、「母性看護学」、「精神看護学」、「地域看護学」、「生活看護学」など幅広い分野があります。専用の施設での看護に加えて、在宅看護(home nursing)の重要性も認識されており、環境整備に向けた取り組みが進められているものの、まだ課題は数多くあります。
また、少子高齢化(declining birthrate and a growing proportion of elderly people)が急速に進む社会状況の中で、介護従事者の需要も高まっています。介護施設への入所を希望して待機している高齢者も多く、在宅介護をサポートするシステムをよりきめ細かく充実させる必要があります。
さらに、医療技術の高度化に伴い、どこまで延命治療(life-prolonging treatment)を行うのか、どのような死を望むのか、など終末期医療(end-of-life care)について各人が事前によく考えて意思表示(declaration of will)することも重要な社会になりました。癌と診断された際に、痛みの緩和のみを行って、積極的な治療を行わない「(患者の)治療を受けない権利」なども取り上げられ、これまでタブーとされることが多かった「安楽死(euthanasia)」「尊厳死(death with dignity)」について論じる機会も多くなっています。
このように課題が多い発展途上の分野において、翻訳を通じて貢献したいと考えています。特にこの分野での翻訳では、和文英訳の際に相当する英語の表現が確立されていない日本独自の状況を反映した日本語の用語や、逆に英文和訳の際に説明を加えないと日本の読者には伝わりにくい英語の用語などが多々あります。国内外の情報を収集しながら、日々変化していく動向を絶えず見守っていきたいと思います。 |