翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/03/13
粗面小胞体で翻訳されるタンパク質

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

このグループでは、翻訳がサイトゾル内のポリリボソームで開始した後、 翻訳を一時中断して小胞体という小さな袋状の膜に移行し、そこに結合して翻訳を再開します。リボソームが表面に結合した小胞体は、電子顕微鏡で見た時にザラザラして見えるので、粗面小胞体といいます。で、ここで作られたタンパク質は、細胞膜、核膜、小胞体膜、リソソーム膜などの膜構造に組み込まれるもの、リソソームというオルガネラの内部に組み込まれるもの、細胞外へ分泌されるものなどです。

こういうタンパク質には共通して、タンパク質のN末端の部分に、疎水性アミノ酸が並んだシグナル配列という一次構造を持っています。リーダー配列ともいう。シグナルがぞろぞろ出てきますねぇ。

まずmRNAとリボソームが結合し、サイトゾル内のポリリボソームで翻訳が始まった時、シグナル部分の翻訳が進行すると、そこへSRPというタンパク質がやって来て結合し、翻訳をストップさせます。小胞体の表面にはSRP受容体タンパク質があって、SRPタンパク質を結合します。といったって、細胞質にあるSRPをやたらに結合しては困るんで、翻訳途中のシグナルペプチドに結合したSRPだけを結合するんです。で、SRPに引きずられてポリリボソームが小胞体の表面にドッキングする。小胞体には、リボソームを結合させるトランスコロンという膜輸送タンパク質があって、ポリリボソーム全体が小胞体の表面にしっかりと保持されます。ポリリボソームがしっかり保持されると翻訳が再開します。分子レベルの細部に至るまでなんとうまくできているのもだなぁ、と感心するばかりです。


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