翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/24
tRNAの修飾

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

tRNAは、複数のtRNAが一本の前駆体RNAとして合成され、切断された後に修飾を受けて完成します。40種類以上も存在するすべての種類のtRNAが一つながりで合成されるわけではなく、いくつかのグループに分かれて前駆体RNAとして合成されます。それでも、一つ一つのtRNAを別々に合成するよりずっと都合がよいと思います。

tRNAは小さなRNAですが、実に多くの修飾が起こります。一つは、真核生物ではすべてのtRNAの3'末端側に、CCAという3つの塩基が酵素によって付加されます。しかし、原核生物では始めからCCAが付いた状態で作られるため、これは修飾ではありません。いずれにせよ、すべてのtRNAの3'末端はCCAで、この先にアミノ酸を付けて運ぶのがtRNAの役割です。

tRNAでは実に多くの塩基の修飾が起きる結果、他のRNAには見られないような多くの種類の変わった塩基を含みます。一つ一つの修飾塩基の役割が全部わかっているわけではありませんが、かなりのものはtRNAが機能する上で必要であるとわかっています。

tRNAはそのほとんどが分子内二本鎖構造を持っていて、コンパクトな構造をしています。そのため、特定のtRNAに特定のアミノ酸を結合するtRNA合成酵素は、tRNAの構造を見分ける上で重要と考えられます。端にアミノ酸が結合し、アンチコドンの部分でmRNA上のコドンと対を作ることによって、アミノ酸とコドンとを対応させる翻訳辞書の構造を持っているわけです。


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