翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/24
セサミンのパワー

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

今、巷では活性酸素と戦う物質が注目されています。なぜなら、活性酸素の蓄積が健康を害する大きな要因だからです。活性酸素と戦う物質には、イチゴヤキウイなどに多く含まれているビタミンCをはじめ、ビタミンEやβカロチン、ポリフェノールなど多くのものが知られています。そして、ゴマに含まれている物質の中にも、非常にパワフルな活性除去作用があります。

ゴマは、タンパク質、脂質、炭水化物、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維など、小さな一粒に身体が必要とするほとんどが含まれてる優れた健康食品です。そして、ゴマが優れた健康食品であるという所以は、特有の微量成分である「ゴマリグナン(sesame lignan)」にその秘密があります。

「ゴマリグナン」とは、ウーロン茶に含まれるポリフェノールがウーロン茶ポリフェノールと呼ばれているように、ゴマに含まれるリグナンだからゴマリグナンと呼ばれています。

ゴマリグナンを細かく見ていくと、セサミン、セサモリン、セサミノール、セサモール、セサモリノールというように、およそ5種類に分けることができます。この5つのうち最も量の多い物質が、「セサミン」なので、ゴマに含まれるリグナンのはたらきも、このセサミンなしには考えることができません。

数多くある抗酸化物質も、実際にどの臓器のどの組織に行って活性酸素と戦っているのか具体的に解明されているのは、きわめて少ないのが現状です。その中でセサミンは、最先端の研究方法を用いて動物や人の試験でそのメカニズムがくわしく解明されています。

セサミンは、ポリフェノール類、カロチノイド類などの抗酸化物質とは少しはたらきが異なる独自の作用機構があります。多くの抗酸化物質は口から腸まで運ばれ、吸収されたあと、肝臓に運び込まれる前にもうすでに、活性酸素と戦ってしまっています。傷ついた勇者たちは数も減り、もうヘトヘトです。しかし、セサミンは活性酸素がいちばん発生しやすい肝臓までは、無傷のままたどり着くことができます。そして、そこではじめて鎧兜をつけた、強力な勇者へと変身するのです。また、セサミンとビタミンEとのコンビネーションにより、肝臓ではセサミンが、全身の細胞ではビタミンEが役割分担して、より効果的に活性酸素を除去できることがわかっています。

ゴマと人類とのつきあいは有史以前にさかのぼり、「ゴマは身体に良い」といわれてきましたが、セサミンの作用機構が解明されるようになって、まだ10年ほどしか経っています。私たちの祖先の経験が、おそらく何千年にもわたる長い間に継承されてきた結果なのでしょう。

お酒をたくさん飲む人や肝臓をいたわる人には、最適な食品ではないでしょうか。


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