翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/16
rRNAが形成するリボソーム(細胞内の翻訳会社)

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

rRNAはまず1本の前駆体(precursor)として作られ、その後に切断され、最後にそれぞれが修飾を受けて完成品になります。rRNAにはいくつかの種類がありますが、すべて同じ前駆体からスタートします。完成したrRNAは、さらにタンパク質と会合してリボソーム、つまり細胞内の翻訳会社になります。真核生物ではこれが核小体(nucleolus)に蓄えられ、必要に応じて、核膜孔(pore of nuclear membrane)を通って細胞質(cytoplasm)へ出て行き、翻訳会社の場として働くわけです。

rRNAはまずひとつながりの前駆体として合成され、その後に切断されますが、大腸菌(Escherichia coli)の場合は16S、23S、5Sという3種類のrRNAになり、真核生物の場合は、より大きな前駆体が合成されて、その後、18S、28S、5S、5.8Sという4種類に切断されます。「S」というのは、分子の大きさを表すものです。

rRNAは切断された後に、「ウラシル塩基の異性化(isomerization)」と「リボース分子のメチル化(methylation)」という修飾を受けます。細かいことを省略すると、ウラシル塩基は異性化によってプソイドウリジンという塩基に変化します。また、リボースはメチル化によって2'の水酸基にメチル基(methyl group)が結合します。rRNAの中にはそれぞれ100ヶ所くらいにこうした変化を受ける場所があります。修飾が起きるには修飾するための酵素があるわけですが、問題はどうやって特定の位置のヌクレオチドにだけ特定の修飾を起こすかという選別です。真核生物では、snoRNA(small nucleolar RNA)という小さなRNAが働いて、ウラシルを異性化する位置とリボースをメチル化する位置を決めているそうです。snoRNAは何種類もあります。200ヶ所もの位置で間違いなく修飾を行うことが、rRNAの機能に重要なのだろうと思います。rRNAにタンパク質が結合してリボソームという顆粒が作られ、これが細胞内の翻訳会社として働くわけです。


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