翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/16
赤ワインについて

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

「健康のためにワインを飲もう」という話が広がって、酒屋さんの棚にたくさんのワインが並ぶようになりました。ワインの関税が下がって手頃な値段になった、国内のワインメーカーが外国の有名ワインを輸入するようになった、そんな事情も関係しているようです。

その赤ワインには渋みがあって好き嫌いがはっきりします。好きな人にはとても好評の渋みですが、どうしてこの渋みが日本人に受け入れられたのでしょうか。

「フランス人は動物性脂肪の摂取量が多いのに、心臓病死亡率が低い」という統計結果は有名です。そして、これは「赤ワインをたくさん飲むからではないか」といわれ、赤ワインに含まれるポリフェノール(polyphenol)という物質が注目されるようになりました。ポリフェノールはブドウの果皮(pericarp)や種子(seed)に多く含まれているものです。これが抗酸化作用(antioxidant effect)をもち、活性酸素(reactive oxygen)の働きを抑制することで動脈硬化(arteriosclerosis)を防いでいるそうです。

では、どうして赤ワインなのでしょうか。白ワインはブドウを絞ってから発酵させるので、果皮の成分はほとんど残りません。逆に、それがすっきりとした味わいになるもとです。薄く赤い色のついたロゼというワインもあります。それは、赤ワインと白ワインを混ぜてつくるのではありません。果皮ごと発酵させて色がついた頃を見計らって絞ってしまうのです。そして絞ってからまた発酵を続けさせます。

赤ワインは果皮や種子ごと発酵させて、できあがってから絞るので、ポリフェノールも残るわけです。赤い果皮の色素が残るだけでなく、他の成分も加わって赤ワインは豊かな味わいになります。つくり方の違いから、赤ワインが最もポリフェノールを含むことがわかります。

その赤ワインにも種類があって、渋みの強いフルボディタイプのほうが、軽い飲み口のライトボディよりも、たくさんポリフェノールを含むことになります。

渋みのもとは、タンニンなどのポリフェノールです。ですが、ポリフェノールのためにワインを多量に飲むことは、誰の目にも明らかな不健康のもとです。チョコレートやお茶にもポリフェノールは含まれているため、フランス人はココアやチョコレートの類もたくさん摂取するといいます。

風邪薬を飲むとき、少々の赤ワインに限らずアルコールを口にすると、血行がよくなって効き目がよくなることがあるそうです。しかし、アルコールを適量以上に摂取することは、控えなければなりません。飲み過ぎは脱水症状をもたらし、血液凝固(blood clotting)を促進して脳梗塞(cerebral infarction)の誘引となります。特に脳梗塞の治療薬を使用しているときには、禁酒すべきです。


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