翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

分子生物学・バイオ技術・環境コラム一覧へ戻る

2012/01/11
タウリン配合のキャットフード

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

ドリンク剤、ミルク、健康食品、目薬、さらにキャットフードのラベルでも見かける「タウリン配合」という表示がありますが、タウリンは、無味無臭(tasteless and odorless)で水溶性であり、硫黄を含むアミノ酸の一種です。人間の身体には0.1%程度含まれ、母乳(mother's milk )や胆汁にも含まれています。1827年に牛の胆汁から発見されましたが、その後1世紀以上も機能がよくわからなかった成分です。

タウリンは魚介類に多く、100gあたり200〜1500mg含まれています。魚介類を多く食べる地方で高血圧や脳卒中(stroke)が少ないことの理由の一つとして、タウリンの作用もあるのでは、と考えられています。重要な作用が次々と確認されてきたからです。

タウリンは細胞膜の保護や安定に作用し、生理機能に影響を与えます。飲んだときに認められている主な効果は、次の通りです。

1.肝臓では、再生促進やコレステロールを排泄する働きのある胆汁酸の分泌促進があります。このため血中コレステロール値を下げ、胆石症の予防となります。
2.膵臓では、血中ブドウ糖濃度を下げるホルモン、インシュリンの分泌が促進されます。このため糖尿病予防に効果があります。
3.筋肉が激しく収縮し続けると、筋肉内に乳酸(lactic acid)が溜まり、酸性になるために動けなくなりますが、タウリンはこの乳酸の蓄積を抑えます。また、筋肉がつる現象を防ぎます。
4.心臓の筋肉の機能も安定させる一方、交感神経系(sympathetic nerve system)の働きを抑制してリラックスさせることで血圧も下げる作用があるため、高血圧と心臓病のほか、脳卒中や肝臓病の予防します。
5.他では、目の網膜や角膜に作用し、視力維持に効果があります。
このように、タウリンは身体の各臓器の機能を高め、疲労回復のほか、さまざまな成人病に対する効果が高いことが特に注目されています。

体内でもタウリンはある程度合成されるため、摂取しなくてもすぐには病気になりません。適切な摂取量は大人で1日約500mgという計算がありますが、疲れたときなどに薬理的な効果を期待する場合には多めに摂るとよいそうです。同様な考えから、ドリンク剤は化学合成したタウリンが500〜2000mg配合されているものが多いです。過剰のタウリンはすみやかに排泄されます。都合がよいようですが、過剰分は無駄になるだけともいえます。

なお、猫はタウリンを合成できないのでしばしば欠乏症になり、成長障害や視力低下などを呈します。それで、キャットフードにはタウリンが配合されているものが多いのです。


分子生物学・バイオ技術・環境コラム一覧へ戻る