翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/11
1型糖尿病について

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

2型糖尿病とは異なり、1型ではインスリンの分泌がほとんどないこと以外に障害がないのがふつうです。インスリンを作っている膵臓内のランゲルハウス島(Langerhans' islet)のβ細胞が抗体により攻撃・破壊されて、インスリンを作る細胞がなくなってしまうのです。この抗体は、発症間もない1型糖尿病患者の体内で多く見つかります。

β細胞がなくなる機構はそのほかにもいくつか発見されており、2型糖尿病より病気としての複雑さが少ないため、治療法が見つかる日もそう遠くないかもしれません。インスリンを作る膵臓の移植や、β細胞そのものの移植も有効です。

1型糖尿病のインスリン分泌がなくなる原因は、ウィルス説からミルク説までさまざまであり、遺伝因子の解析も科学的および医学的に進んでいます。子供や若い人の発症が多く、発症後はすみやかにインスリン注射を開始しないと生命にかかわってきます。インスリンの分泌がなくなることによって起こる糖尿病なので、肥満や運動不足、食べすぎとは関係ありません。地域によって患者数の差が大きく、北欧では日本の約100倍の患者がいます。

発症は急激なことが多いため、つい2、3日前まで元気にしていても高血糖による昏睡を起こすことがあります。そして、治療を受けなければ心臓と呼吸が停止してしまいます。そのため、体の調子が悪いと感じたら、様子を見ようなどと思わずに、すぐに病院へ行く必要があります。血糖の検査であれば近くの診療所でも受けられます。



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