翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/02/23
遺伝子増幅

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

普段から機能している遺伝子(gene)の数は、大腸菌(Escherichia coli)で2,000以上、ヒトではこれよりずっと多いと考えられます。 タンパク質(protein)は、転写されたmRNAの情報を元にリボソーム上で合成されます。 mRNAが何千種類あっても、これらのタンパク質を合成する装置は共通です。したがって、タンパク質翻訳工場(同業者として[翻訳会社]とでも呼びましょうか)は、多種類のmRNAの翻訳(英語でも[translation]という言葉が使われている)に対応できるよう、大量に用意される必要があります。もちろん、「翻訳」装置を構成するrRNAや「翻訳」装置で働くtRNAも同様です。 とくに細胞がどんどん増えているときには、いろいろなタンパク質を短時間のうちにどんどん増やす必要があります。さらに、細胞(cell)が増えても細胞あたりのタンパク質翻訳会社の数を維持するためには、「翻訳会社」が独自に増幅していく必要があります。 このような役割を考えると、rRNAやtRNAの遺伝子が中程度反復配列に属すること、つまりこれらの遺伝子がたくさんのコピーからなることは、非常に合目的であることがわかります。遺伝子がたくさんあることによって、短時間に大量に用意することができるわけです。 生き物はいろいろとうまい仕組みを作っているなぁと感心するばかりです。


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