翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/10/12
バイオガス生産について

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

実用化が現段階で最も進んでいるバイオガス(biogas)はメタン(methane)です。特に畜産廃棄物のメタン発酵(fermentation)はプラント化されて稼動している設備が多くあります。分解率の点では問題が残されていますが、家畜の糞尿からメタンが発生することは昔から知られているため、素朴な技術でも利用できるようになっています。この種のメタン発酵は、池や沼などの底でも盛んに起こるぐらいで、有機物の存在するところでは普遍的であると言われています。

家畜糞尿だけでなく農地廃棄物や生ゴミなども含めてメタン発酵で処理しようということになると、メタン発酵の前処理が必要になります。

まず、メタン発生のために直接利用される物質は、酢酸(acetic acid)、メタノールなどのメチル基を持つ化合物と、それを還元する水素です。

また、生体内で水素を発生させる生化学的サイクルは、ペントース・リン酸回路(pentose phosphate cycle )であり、グルコース(glucose)などの糖が原料として使われます。その糖を得るには、食物の遺骸に含まれるセルロースやデンプンなどの多糖類を加水分解する過程が前段階で必要になります。

さらに、酢酸を生成する反応としては、高級脂肪酸(higher fatty acid)が酸化的に分解していくプロセスもあります。たとえば、炭素数4個のプロピオン酸は分解されて2分子の酢酸と水素を生じます。このプロセスにおいては働く微生物の種類が莫大なものであり、単に水素産生菌やメタン産生菌だけでなく、セルロース(cellulose)やデンプンの加水分解、脂肪の酸化的分解などを受け持つおびただしい種類と数の微生物が参加する必要があります。

その意味で、さまざまな微生物の活動を組み合わせて複合的なシステムを作ることが必要になってくるでしょう。


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