翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/10/12
巧みな戦術

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の映画『ジョーズ(Jaws)』をご覧になったことはありますか?ジョーズの目に扮したカメラ(camera)が海の中から海面を泳いでいる人を捉えているシーンがあります。カメラがだんだん人に近づいていき、今にも襲われそうな緊迫したシーンです。

ジョーズが海の下から見上げた海面(surface of the sea)付近の人はどのように見えているのでしょうか?空からは太陽光が降り注いでいるため、人は明るい光の中に黒っぽい影としてはっきり浮かび上がって見えます。

この視点はジョーズだけでなく、深い海に住んでいる魚たちの視点(viewpoint)でもあります。つまり彼らは獲物(game)を捕るとき、自分より上にいる魚を探すことは簡単なのです。一方の身を狙われる魚は身を隠したいものの、海の中は海底でない限り、隠れるところがありません。
しかし、魚の中にはこの太陽の光を利用してうまく身を隠しているものがいます。水は光をよく吸収しますが、青い光は比較的吸収されにくい光です。そのため深い海に差し込む太陽の光は青く見えます。そこで彼らはお腹の部分を青く光らせることで、下から見上げたときに周囲に溶け込むようにし、外敵から発見されにくいようにしています。

人間の視力では、水深200mよりも深くなると海の中は真っ暗闇となります。しかし、深海に住む生き物たちの眼は人間の眼よりも感度が高く、なんと水深1000mくらいまで太陽の光を見ることができます。そのため、このくらいの深さまではお腹が光る魚が多く見られるそうです。


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