翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/02/23
ヒトゲノムの解読について

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

ヒトゲノム(human genome)の解読(decoding)が完了して、そのことが世界的に大きく報道されましたが、それで人間の持つ生命(life)の神秘、謎がすべて明らかにされたわけではありません。この解読によってわかったことは、ゲノム(genome)に書かれた30億に及ぶ分子(molecule)の配列(sequence)のみであるため、「それらのうちでどの部分が生命体(living thing)にとって重要なのか」、「それはわれわれの日々の生活や今後にどのような意味を持っているのか」、または「原始の生命体はどのようにして現在の姿にまで進化してきたのか」などの謎が依然として残っています。そのため、『本当の解読』はこれからの仕事となるでしょう。

しかし、少なくともゲノムの中に、またはゲノムの中にのみ、自然科学(natural science)・思想(ideas)・哲学(philosophy)・宗教(religion)などを通じてわれわれ人間が長い間探ってきた生命の謎、『生きていることの意味』を解く鍵が隠されていることは間違いないと思います。将来的には、「生命体としてのヒトは一体何者で、どうしてこのような生活をし、このような社会を作り上げているのか」という謎が解け、ヒトに関する『すべて』が白日の下にさらされることになるでしょう。

18世紀末エジプト(Egypt)で古代の石碑ロゼッタ-ストーン(ロゼッタ石:Rosetta Stone)が発見されてから、象形文字が解読されて古代エジプト史が明らかになっていったように、21世紀においては『生命のロゼッタ-ストーン』の解明が行われています。


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