翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2013/04/05
情報を意図的に欠落させる通信

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

インターネット上での全世界平均のパケットロス(packet loss)率は1〜5%程度と言われています。情報流通(information distribution)が不可欠となった現代社会では、通信ネットワーク(communication network)の信頼性は重要な問題です。通信途中で情報が頻繁に欠落するなどということはあってはならない大問題です。ところが、暗号プロトコル(cryptographic protocol)では積極的に情報を紛失させる場合があります。

紛失通信プロトコルを考案したのはラビンですが、何のためにこのような通信路を考えたのでしょうか。当初の目的は情報の同時交換に利用することでした。その後、紛失通信は落とし戸付き一方向性置換と呼ばれるものとほぼ同じであることがわかりました。落とし戸付き一方向性置換は単純な公開鍵暗号(public key encryption)と見なせるので、この一見何の役に立つのかわからない紛失通信は実は公開鍵暗号と同じ能力を持っているのです。

昭和48年の郵便物の不着申告は約12万件に1件でしたが、引受件数の増大にシステムが追い付かないのか、苦情を言いやすい世の中になったのか、近年では約1000件に3件と言われています。不着がどんどん増加すると、郵便を利用した暗号プロトコルが使われるようになるかもしれません。


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