翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2013/03/28
カルテル価格から市場価格へ

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

石油産業は地上における最大のビジネスであり、石油は世界貿易で取引される商品の中で量・金額ともに最大のものです。産油国(oil country)は財政収入と外貨収入の大部分を石油輸出に依存しており、一方、石油輸入国にとって石油は最も重要なエネルギーです。

このように石油は、商品と戦略物資の二つの顔を持っています。戦時はもちろん戦略物資になり、政府の強い統制下に置かれますが、平時には自由に取引される一次産品の一つに過ぎません。石油は世界の政治経済情勢によっていろんな顔を見せます。

石油価格は強力な価格管理システムがないと乱高下する性格の商品です。メジャーが国際石油産業を支配していた時代には価格は比較的安定していました。しかし、石油の自由市場(free market)が形成されてからは、OPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries)が生産・価格管理をうまく仕切れなかったため、価格形成は市場にゆだねられました。取引所の取引には当業者以外の金融機関、商社、各種ファンドなどのプレイヤーも多く参加しており、流動性が高く、公正な価格が形成されると考えられています。しかし、取引所での取引にはさまざまな思惑が入るので時に上下にオーバーシュートする危険があります。

今日では石油価格は市場で決まるのが当然のように思われていますが、取引所での石油取引が復活したのは、産油国が国際石油会社に与えていた利権を国有化し、一貫統合が破壊されて以降の1980年代のことです。


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