翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」



分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2013/01/16
表面張力で小さなボールを作る

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

アメンボが水面を歩くさまは見ていて本当に飽きさせません。昆虫なので水よりも少し重いはずですから、沈んでもよさそうに思えます。アメンボは足の先にたくさん毛をつけて、たくみに空気を取り込んで水に濡れないようにしているのです。水に濡れないのは、足先につけた気泡の表面張力(surface tention)で、自分の体重を支えているからです。

同じように、鉄でできた針やアルミでできた1円玉を水に浮かべることができるのです。しかし、針や1円玉がすっかり濡れてしまうと、水より重いので濡れてしまいます。

表面張力は温度が高くなるにつれて小さくなる傾向にあります。水にもこのことが当てはまり、0度から10度まで温度が上がると、表面張力はおよそ3割減少します。熱い水のほうが濡れやすいためです。

これは、熱い水のほうが汚れを落としやすい理由の1つにもなっています。水切れがよいのも、同じ理由です。さらに濡れやすくするには、界面活性剤をお湯に入れると効果的です。

インクジェットプリンター(bubble jet printer)は実は大変革新的な技術です。キャノンやエプソンは少し違うメカニズムを考え出しましたが、いずれも細かいノイズから微小なインクの粒を吹き出して、それを紙面にぶつけて印刷するというものです。

一定量の微量なインクを小さいノイズから圧力で押し出すと、表面張力によってインクは球状の粒になって飛び出るのです。このように、液体を細かい粒子に変えるマイクロジェットの技術は、インスタントコーヒーやミルク、その他の粉末状の食品の製造にはもってこいの技術といえます。

また同じようにして、非常に細かい球状の金属の粒を精度よく大量に作成することもできます。金属を溶かしたものを極微量ずつ吹き飛ばして冷却すると、結晶体になります。これをうまくコントロールすれば、溶けた金属の表面張力で均質な金属の微小球を作ることができるのです。このような技術を応用すれば、ナノスケールの均質な金属球を作れるのではないでしょうか。

ラプラスの法則を使って、健康管理に役立つミクロ血圧センサーを作ることができます。血管を圧力センサーで挟み少し平たくしておきます。すると、流れる血液の圧力が大きくなったときは、血管の径を大きくするように圧力センサーを内側から押すことになります。反対に、血圧が低くなると、圧力センサーを引くことになります。目盛をつけてセンサーの動きを測定すれば、血圧やその変化をミクロスケールで測ることができます。


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