翻訳家によるコラム「広告英語・英語キャッチコピーコラム」

高橋翻訳事務所

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2010/11/01
武道の言葉を翻訳してみましょう
ビジネス全般翻訳、アート翻訳担当のコールマンです。

今年は久しぶりにハロウィーンパーティー(Halloween party)に行ってきました。そこでなんと、私と同じく合気道(aikido)を習っているアメリカン人で、しかも私と同じくアメリカで3級になってから日本に来た人と出会いました。英語で合気道についてお話することが非常に久しぶりでして、合気道用語を日本語のままにしながら英語で話すことがとても懐かしく感じました。日本のゴルフで英語の「バーディー」(birdie)などをカタカナにして利用すると同じく、英語圏の国の合気道道場では合気道に関わる言葉を日本語のままにしています。「3級」のことを「サンキュウ」と言うべきか、「3番目」という意味の「third」(サード)を利用し「サードキュウ」と言うべきか、または私のように気分によってその時の言い方を決めるか、人それぞれのものもありましたら、誰もが皆「シホウナゲ」(四方投げ)と共通に呼んでいる技の名前などもあります。アメリカの合気道道場に入ってみると、次のような会話が耳に入っても珍しいことではないのです。

A: "Can you do nikkyo?"
B: "I haven't learned nikkyo yet, but I can do ikkyo. I did ukemi for nikkyo the other day,and it was pretty painful."
A: "Yeah, the ukemi for nikkyo can hurt pretty bad, but it is not as scary as taking ukemi for kotegaeshi."
B: "I've never taken ukemi for kotegaeshi, but I finally learned how to do a front roll from standing the other day, so I am ready to try taking ukemi for a kaiten nage throw."

Aさん: 「二教(にっきょう)ができますか?」
Bさん: 「二教(にっきょう)はまだ習っていませんが、一教(いっきょう)ならできます。この間二教の受身をとってみましたが、かなり痛かったです。」
Aさん: 「そうですね、二教の受身はけっこう痛いものですね。けれど、小手返し(こてがえし)の受身ほど怖くないと思いますよ。」
Bさん: 「小手返しの受身はとったことがないですが、この間、立っている状態からの前受身のやりかたを学びましたので、回転投げの受身を挑戦できると思います。」

ここでは武道に関連する文章を翻訳する際のポイントが二つです。まずは、基本的に技の名前はそのままローマ字にすることが多いようです。技のイメージが分からない人が読むような文章でしたら、もちろん説明を付けると良いのですが、短い説明では片づけにくい場合もあるかと思います。その場合は仕方がなく、大体でも良いでしょう。たとえば、「小手返し」(こてがえし)なら、相手の手首をひねって投げますので、「wrist-twist throw」でも良いかと思います。「二教」とは、相手の手首をひねりながら腕を押えて倒していく技ですので、「wrist-turn arm pin」のような英語がよろしいでしょう。「pin」とは、柔道やレスリングでも良く使われることばで、相手が起き上がることができないように、技を行ってから体を押さえることという意味です。ちなみに、合気道の技なら、Harvard Aikido がとても良い用語集をインターネットにだしていますので、技の説明を入れる際に使うと非常に便利だと思いますhttp://www.hcs.harvard.edu/~aikido/11GLOSSARY/
GLOSSARY.htm


二つ目のポイントは「受身をとる」や「技をかける」のような日本語をどう英語にするべきかです。「受身」の場合も技の名前と同様、「ukemi」をそのまま日本語にしますが、英語の文法の中に入れますので、多少の調整が必要です。まず、「受身をとる」は基本的に「take ukemi」にされることが多いです。「ukemi」とは何なのか分からない人が読みそうな英訳の場合、「break fall」もしくは「技の稽古を行っている人に投げられること」という意味で「being thrown by the person practicing a technique」のような説明を括弧の中に入れると良いと思います。「技をかける」の場合、「do + 技名」の英語を良く聞きます(「do」の後、「the」 や「a」も必要な場合もあります)。決して野球やサッカーなどのように「play」を使ってはいけません。たとえば、「私は四方投げをやりました」なら、「I did a shihonage.」「四方投げをしてください」なら、「Please do shihonage」ですね(「Please」は好みに従い、使わなくても良いです)。「稽古」は「練習」という意味で「practice」という英語を使うことが多いですので、「今日は四方投げの稽古をしましょう」の場合、「Today, let's practice shihonage」または「Today we are going to practice shihonage.」のような英語になります。合気道では投げることが多いですので、技の名前の後に「throw」を付けるとより英語らしくなると感じる人がいるかもしれません。その場合、「Today we are going to practice the shihonage throw.」のような英語になります。

毎週の水曜日、札幌の厚別体育館で稽古をしていますので、見学にいらっしゃってください!

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