翻訳家によるコラム「広告英語・英語キャッチコピーコラム」

高橋翻訳事務所

広告英語・英語キャッチコピーコラム

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2011/02/27
原文の「意志」を守りましょう!
ビジネス全般翻訳、アート翻訳担当のコールマンです。

日本語を英語へと翻訳するという仕事をするにあたって、和英辞書に載っている英語の選択肢が足りず、どのような英語にすれば良いか、辞書だけでは分からないことがあります。そこで、翻訳している原文の全体的な意図や雰囲気を考えながら、その日本語の言葉はどのような英語にすればよいかを考えることをやめ、原文と同じような内容を英語に翻訳するとき、どのような英語が良いかを考えてみます。つまり、単語レベルではなく、文章全体で考えます。

先週その方法で作業を進めていたとき、「意志」という言葉を「thrust」に翻訳したということがありました。和英辞書ではpurpose、volition 、willのような英訳が出てくる日本語ですね。そのような英語がいけないということは決してありませんが、やはりできるだけ幅の広い範囲からその時に合う英語を選びたいため、3〜4個の選択肢しかないのは多少不便だと思います。

「意志」に対する訳語としての「thrust」の使い方を見てみましょう。

新しいモデルは最初のモデルの意志を受け継ぎながら、より使いやすい機能がたくさん組み込まれています。
While continuing the thrust of the original model, the new model incorporates many functions that are even more user friendly.

「意志を受け継ぐ」を「continue the thrust」にしたわけですね。

英訳をもう少し崩して、自然に聞こえる英語にするには、「keeping the thrust alive」にしても良いかもしれません。その場合は以下の英語になります。

While keeping the thrust of the original model alive, the new model incorporates many functions that are even more user friendly.

「thrust」を使わず、別な英語を使いたいときは、「following in the footsteps」のような英語も利用できます。

While following in the footsteps of the original model, the new model incorporates many functions that are even more user friendly.

和英辞書にない英語を思いつくためには、仕事をしていない時でも、英語の文章をたくさん読む必要があると思います。自分の専門に関する文章も大変役に立つと思いますが、まったく関係のない文章でも意外と役に立つ英語がたくさん含まれていることも多いです。小説、雑誌、そして映画やテレビまで、いろいろなメディアから情報を吸収することで、「thrust」などのような英和辞書にない英語が自然に浮かんでくるようになるかと思います。私は英語を母国語としていますが、それでも、小説、インタビュー、雑誌、英字新聞などを読むことで、英訳をする際、辞書に頼りすぎることなく、英語らしい英語が頭に浮かぶことになると実感しています。「昨日読んでいた新聞記事に出てきた英語がこの日英翻訳にぴったりだ。和英辞書だけに頼っていたら、とても気付かなかったよ!」と思うことがよくあります。


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