翻訳家によるコラム「契約書・政治経済・アート・スポーツコラム」



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2011/01/03
イラク新政権について

契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。

今回は先日イラクで発足した新政権がテーマです。

イラクでは昨年3月に国民議会選挙(parliamentary election)が実施されましたが、9ヶ月の時を経て、ようやく新政権が発足しました。ここまで長引いた主な要因は、選挙の結果、マリキ首相が率いるイスラム教シーア派(Shia Islam)の政党とスンニ派(Sunni Islam)が主体の政治勢力が2議席の差で拮抗したためです。最終的には、シーア派、スンニ派、クルド人(Kurds)の3大勢力がマリキ氏を首相とする連立に合意しました。

フセイン政権が崩壊した後のイラクでは、旧政権時代の支配層だったスンニ派に代わってシーア派とクルド人が政権運営を行ってきましたが、スンニ派の反発を生み、3年前には宗教抗争(religious conflict)が激化しました。今回、挙国一致内閣が成立を迎え、国際社会も歓迎の意向を示しています。

しかし、新政権には課題が山積みです。各派間の調整は不十分であり、重要閣僚は未確定のままで政権は発足しました。当面は首相が兼任する予定ですが、最終的な人選は先送りされた形となっています。また、北部の産油都市であるキルクークの帰属権を巡ってクルド人とアラブ人(Arabs)が争いを繰り広げており、新政権の対応によっては、民族抗争が再燃する可能性が残されています。油田開発に関する法整備も遅れており、石油利権を巡る民族、宗派間の対立も火種がくすぶっています。

イラクでは2011年末までに50,000人の駐留米軍が撤収する予定となっており、新政権の成否はイラク人自身にかかっています。最重要課題はイラクの安定化であり、アメリカだけでなく、国際社会もさまざまな側面から支援を行う必要があるでしょう。


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