高橋翻訳事務所TOP  >  政治経済・スポーツ  >  新型コロナウィルスの影響とハロウィンについて

2021/09/26

新型コロナウィルスの影響とハロウィンについて

高橋翻訳事務所で経済分野の翻訳を担当している佐々木と申します。今回は日本でも定着したハロウィンについてです。

当初は9月12日までの予定だった緊急事態宣言(state of emergency)とまん延防止等重点措置(pre-emergency measures)ですが、政府が繰り返し訴えている人流の抑制も徹底されず、感染者の減少も緩やかなペースで推移したため、最終的に9月31日までの延長が決定されました。感染力が強いとされるデルタ株が猛威を振るうなか、家庭内感染や学校での感染拡大が問題となっていますが、反対が大多数を占めるにもかかわらずパラリンピックの学校観戦を強行し、感染者が出てから中止にするという場当たり的な対応が批判の的となりました。それでもオリンピック、パラリンピックは今回の感染爆発と無関係であると関係者は一貫して主張しています。また、感染対策の切り札として政府が重要視しているワクチン接種ですが、異物混入問題や接種後の死亡事例など不都合な情報は積極的に開示しないという体質が露呈しており、ワクチン接種を悩んでいる人が接種を控えるなど、マイナスの影響も出ています。その後、自宅療養者や若年層の死亡が相次いだ結果、30代以下の接種を優先する動きが加速化しましたが、そのあおりを受ける形で働き盛りの40代から50代の人々が接種を受けられずに死亡する事例も出始めています。

新型コロナウイルスの影響で、全国的に夏祭りや花火大会のイベントが今年も中止となりましたが、秋のイベントとしてすっかり定着したのが10月31日のハロウィン(Halloween)です。元々は古代ケルト民族のお祭りで、古代ケルトでは10月31日が1年の終わりとされ、新年を迎える11月1日を前に先祖の霊が家族を訪ねてくると信じられていました。その際に悪霊も来て農作物を荒らしたり子どもをさらったりするため、仮面をかぶって仮装したり、魔よけとして焚き火が行われたりしたと伝えられています。19世紀ごろに英語圏で季節の行事として広まり、宗教的な意味合いも薄まったイベントとして発展してきました。ハロウィンのシンボルとして最も有名なのは、かぼちゃをくりぬいて目、鼻、口をつけ、内側にろうそくを立てた「ジャック・オー・ランタン(jack-o’-lantern)」です。当初はカブでしたが、欧米諸国にハロウィンが普及していくとともにかぼちゃが使用されるようになり、ろうそくを灯すことで悪霊を追い払う魔よけの役割を果たしてくれます。直訳すると「ランタンのジャック」となるジャック・オー・ランタンですが、その由来はかつて堕落した生活を送っていたジャックと言われています。ジャックはハロウィンの夜に悪魔に遭遇しますが、悪魔をだまして永遠に魂を奪い取らないことを約束させます。しかし、死後に天国へ行くことを拒否されたジャックは地獄に行き、そこで悪魔に再会しますが、以前に結んだ約束によって地獄に入ることもできないジャックは、天国にも地獄にも行けず、暗闇の中で途方にくれてしまいます。そこで、近くに落ちていたカブに火をつけてもらい、今でも安住の地を求めてこの世をさまよっているとされています。

ハロウィンではさまざまな仮装がされますが、魔女やゴースト、ゾンビ、吸血鬼など、恐ろしいものが一般的です。毎年、ニューヨークで開催されるハロウィンパレード(Village Halloween Parade)は世界でも最大規模の仮装パレードです。新型コロナウイルスの影響で2020年は中止となりましたが、48回目を迎える今年はマスク着用など感染対策をしたうえでの開催が予定されています(テーマは「Let’s Play!!!」)。主催者によると、2019年のパレードは参加者が約6万人、100万人以上の観衆が集まりましたが、2年ぶりの開催となる今回も大きな盛り上がりが期待されています。ハロウィンの伝統的なゲームはアップルボビング(apple bobbing)です。まだ日本では広まっていませんが、欧米ではハロウィンのパーティーなどで行われています。水を入れた大きなたらいにリンゴをいくつか浮かべ、手を使わずに口でリンゴを取るゲームで、数を多く取ったほうが勝ちというルールです。元々はハロウィンのときに行われていた恋占いで、魔よけ用の神聖な果実とされ、収穫の時期がハロウィンに重なるリンゴが用いられるようになりました。

日本でもハロウィンの日は仮装行列などのイベントが各地で開催されています。しかし、特に都心の繁華街では迷惑行為が横行したり器物損壊などで逮捕者が出たりするケースも頻発しているため、ハロウィンイベントでのマナーに対する非難の声が年々高まっているのも事実です。ケルト文化が色濃く残るアイルランドでは、ハロウィンの夜は家族で特別な食事を楽しみ、静かに過ごす日であり、お祭り騒ぎはしません。クリスマスも同様ですが、西洋文化を取り入れることが好きな日本人も、いつまでもうわべだけを真似するのではなく、歴史や背景を理解しながら楽しむことも学ぶ必要があるのではないでしょうか