契約書の接続詞について


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2019/05/08
契約書の接続詞について

高橋翻訳事務所で契約書・法律文書の翻訳を担当している佐々木と申します。今回は契約書の接続詞(conjunction)について取り上げます。

1952年に内閣が各省庁に通達した「公用文作成の要領」によると、「接続詞は原則として平仮名で表記する」と書かれていますが、「ただし、次の接続詞は漢字で表記する」とされています。漢字表記の接続詞は、「又は」、「若しくは」、「及び」、「並びに」の4つですが、ビジネス文書を作成する際にこれらの接続詞も平仮名表記にしている方も多いのではないでしょうか。「公用文」は国や公共機関が作成する文書や法令などですが、地方自治体のホームページなどを含め、読みやすさが求められる場面では、接続詞すべてを平仮名表記にする傾向が見られます。

契約書などで注意が必要な接続詞は「乃至(ないし)」です。一般的には「または」という意味合いで使用されていると思いますが、法律用語では「〜から〜まで」を意味します。例えば、「第2条乃至第5条」と書かれている場合、「第2条または第5条」ではなく、「第2条から第5条まで」を指します。翻訳する際は内容から推測することもありますが、原文作成者の意図が不明の場合も含め、基本的には翻訳メモを残して納品するなどして対応しています。誤解を避けるためだと思われますが、現在は契約書でも「乃至」ではなく、「〜から〜まで」を使用するケースが増えているように感じます。

最後に、「および」と「ならびに」、「または」と「もしくは」の使い方についてですが、並列が2つの場合は「AおよびB」、3つ以上の場合は「A、B、CおよびD」とします。「ならびに」を使用するのは、AとBが1つのグループで、それとCを接続する場合で、「AおよびBならびにC」とします。これを英語に翻訳する場合はカンマを入れて、「A and B, and C」とします。さらに、「AおよびBならびにC、DおよびE」の場合は、「A and B, and C, D and E」となります。「ならびに」を表す「and」の前にカンマが入っていない場合もありますので、「and」が複数含まれている文を翻訳する際には特に気をつける必要があります。また、形容詞(adjective)がついている並列の場合も、形容詞がどの単語にかかっているのか、どの範囲までかかっているのかなど、前後の文脈からきちんと意味を読み取ることが重要になります。


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