翻訳家によるコラム「医学・薬事申請コラム」

高橋翻訳事務所

医学・薬事申請コラム

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2010/11/01
デバイス・ラグについて

医学翻訳、薬事申請翻訳、看護翻訳、介護翻訳、医療翻訳担当のY.O.です。

平成22年10月28日に東京会場で開催された「平成22年度医療機器・体外診断薬製造販売承認等に係る講習会」に参加してきました。
この講習会は例年「寒い!」というイメージがありますが、今年も冷たい雨が降る中での開催となりました。台風と重ならなかっただけでも幸運だったかもしれません。

以前、別のコラムで「デバイス・ラグ(device lag)」について触れましたが、この「デバイス・ラグ」解消に向けた具体的な取り組みは、今回の講習会でも大きなテーマの一つでした。

2005年度〜2007年度にかけて国内で承認された新医療機器(new medical devices)に関するデータ(講習会テキストより)によると、米国との比較では、

@申請ラグ(申請者側のラグ/開発から申請まで):約12ヵ月
A審査ラグ/承認ラグ(行政側のラグ/申請から承認まで):約7ヵ月
Bデバイス・ラグ=@+A=約19ヵ月

という実情のようです。

この「デバイス・ラグ」を解消すべく、医療機器の審査迅速化アクションプログラム(平成20年12月11日)が策定され、平成25年度までの最終パフォーマンス目標に向けて、年度別のマイルストーンに従って実施されています。

「デバイス・ラグ」というと、新医療機器について多く取り上げられていますが、より申請件数が多い改良医療機器や後発医療機器におけるラグも大きく、対策を講じていく必要があるようです。

まだまだ課題は多い状況ですが、行政側が具体的な数値に基づいて目標を掲げ、その成果を報告している姿勢が印象的でした。
また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページなどでのさまざまな情報提供、相談制度利用の推奨、申請者側と行政側とのコミュニケーション向上への呼びかけ、「申請・審査意見交換会」の開催など、申請者側と行政側との双方で「デバイス・ラグ」解消に取り組もうとしている姿が垣間見られ、非常に期待が高まりました。
医療機器の承認申請に関わる翻訳に携わる者としても、翻訳を通じて「デバイス・ラグ」解消への取り組みに貢献できたらと考えています。


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